祝言を挙げよう
藤の花の家紋の家のなかでも、近くであれば優先して身を寄せていた屋敷がある。
無意識だった頃から。意識的にそこへ足を向けるようになってから、不死川は頻度を減らすようになった。
見るべきではなかったと思うようなことがあったからだ。否、むしろ見ておいてよかったのかもしれない。そうでなければ今ですら思い浮かべてしまう姿に近づこうとし続けていただろう。
そこの主人は入り婿の、人の良さそうな旦那だった。
娘に惚れ込んで祝言を挙げることが決まっていたが、待ち侘びた祝言の前日鬼に襲われた。親のいない二人姉妹がさぞ怖かっただろうと思ったが、鬼狩りが助けてくれて藤の花の家紋を掲げるに至ったのだという。長女が怪我をしたため延期という形にはなったが、無事祝言を挙げて夫婦となった。恩人である鬼狩りにも祝いの言葉を貰ったのだとか。
藤の花の家紋の家の者となった夫婦は妻の妹とともに三人で日々を暮らし、甲斐甲斐しく鬼狩りを手厚く迎えてくれている。
不死川がここへ初めて足を向けたのは数年前の話だ。
柱になる前の頃だった。休息を求めて兄弟子とともに門を叩いたのが最初だ。出迎えてくれた娘にたいそう目を奪われていたことを、当時の不死川はまったく自覚していなかった。
医者にかかり、湯を貰い、腹を満たして眠りにつく。その間たいそう上の空だったようで、兄弟子が妙に生温い視線を向けてきていたのを覚えている。
兄弟子が死に、柱になり、同僚の顔ぶれがどんどん変わっていくことに嫌気が差していたとしても、娘の顔を見れば安堵していたものだった。兄弟子などが見ていたらわかりやすいとでも笑ったのかもしれないが、不死川はまったく思い当たりはしなかったのだ。
だから目の当たりにすると同時に自覚する羽目になり、想いはびりびりに破かれる羽目になる。
別に、どうせ、何があろうと、不死川は誰かと懇ろになるつもりなどなかったし、己のような男が懸想していいような娘でもなかった。むしろさぞ似合いであろうと納得したほどだ。
炎柱、煉獄杏寿郎。
その屋敷の前で煉獄と話す娘の顔があまりにも美しく鮮やかで、てんで縁のなかった不死川の脳裏にも、恋だの乙女だのと言葉が降って湧いてきた。言葉を交わして、いつもと同じく切り火をして、煉獄を見送る顔があまりにも切なく寂しげに映った。顔を合わせるつもりなどなく、不死川は逃げ出そうとしたのだ。だが娘はこちらに気がつき、己の相変わらずの流血具合を見て引き止め医者を呼びに行った。要らねェと告げて逃げることもできたのに、不死川は結局屋敷へ足を踏み入れたのだった。
――煉獄のことが好きなのか。
聞けばもっと粉々に破かれてしまうだろう想いのまま、不死川はぽつりと問いかけた。
粉々にしてしまわなければならないと思ってのことだ。そうでなければ不死川はずっと娘を気にし続けてしまいそうでどうにもならなかった。
「い、……許婚です」
許婚。結婚を約束された間柄。今も昔も不死川には縁のない関係だ。代々炎柱を輩出してきた煉獄家の嫡男には、あっておかしくない関係。むしろなければ困るだろう関係だ。
「成程なァ」
照れたように俯いて答えた娘の頬が赤みを帯びていたのが印象的だった。
許婚。その間柄に割り込もうなんて輩はクズだ。不死川に二人の仲を裂くつもりなど毛頭ない。びりびりに破かれた想いを抱えたまま、早く祝言を挙げちまえと内心で急かしていた。
けれど、思いに反して二人が祝言を挙げたという情報は終ぞ入ってこなかった。
屋敷内でも時折市井でも見かけることがあった二人の様子は仲睦まじく、煉獄家の近くで見かけた時だって寄り添っていた背中を見た。いつでも祝言を挙げられそうな様子に見えていたのだ。のんびりしている時間などないことくらい鬼狩りであればわかっていたはずで、藤の花の家紋の家の者である娘とてそうだろう。早く人のものになって不死川の想いを完膚なきまでに消滅させてほしいのに、誰も急かしてやらねェのかよとやきもきしていたものだった。
「お前が気にしていた煉獄の許婚はな、本来なら煉獄が十八になった時点で輿入れするはずだったんだ」
いつの間にやら不死川の想いは同僚に気づかれており、それに怒りをぶつけるよりも聞かされた言葉に二の句が告げなかった。
「それが元柱の父親があのとおりになっちまって、話が進まなかったらしい。煉獄自身は強行することも、……解消することも提案したようだが……相手が父親に認められることを望んだんだと。一緒に結婚の許しを請うから、それまで待てるから、……恩人だからってな。何度も二人で掛け合っては門前払いだ、疲弊しただろうぜ」
藤の花の家紋を掲げるきっかけは、鬼狩りに命を救われたこと。あの姉妹を救ったのが当時の炎柱だった。酒浸りになる前の炎柱然とした男だった。
けれど何かのきっかけで男は酒に溺れるようになり、任務も家族も捨ててしまった。
不死川が見た寄り添った背中は、父親に拒絶された後の打ちのめされた背中だった。仲睦まじいなどと、不死川は上辺しか見えていなかった。彼らは彼らで苦労していたのだろうに。
「想われてたんだろう。いい許婚に出会ったもんだな」
「………、……遺していくんじゃ意味がねェだろ」
「まあそうだが。こんな生業なら想定してただろ、輿入れできずに逝っちまうことも」
いくら柱が強かろうと、鬼のように傷を再生できないのだから怪我は蓄積していく一方だ。守るべき乗客と部下がいて、誰ひとり死なせなかった煉獄は賞賛されるに値する。けれど。
「親父があんな感じだ、葬式は遺族として参列することすらできなかったってことか」
宇髄の言葉を遮るように立ち上がり、その拍子にガラスの割れる音が響く。
「ちょっとバカ親父殴りに行ってくらァ」
「お前ね……肩入れしてんねえ。そんないい女だった?」
「んなんじゃねェわ」
確かに世話になった。告げることのない想いを抱くことになった。びりびりに破かれたのに未だ燻るその想いが、娘へ向けられたものであることは間違いないけれど。
「父親ってのは総じてクズだ」
俺はあんなクズにはなりたくない。己の父親を見て何度そう思ったか知れない。先代の炎柱が任務を放棄した大馬鹿野郎であることは知っていたのに、それが人の親であることを認識していなかったのだ。他人の父親からそう思わせることがあるなどと思わなかった。
不死川はげんなりした。
息巻いてやってきた煉獄家の門扉で妙な騒ぎを起こしているのが、敵視している隊士だったからだ。
あの裁判で不覚にも食らってしまった頭突きをクソ親父にもお見舞いして、更には昏倒させたのを見た。耄碌したとはいえ元柱を潰しやがったのだ。鬼を連れた隊士だというのに、ほんの少しばかり胸がすく感覚を味わった。
「……あなた様は……風柱様」
「! あ……どうもォ……」
げんなりしながら様子を伺っていたところに、藤の花の家紋の家の女将が不死川へ声をかけてきた。
娘の姉だ。こちらも随分気落ちしているようで、少しばかり顔色が悪かった。
「あの子をご存じなのですか?」
「あー……鬼殺隊士です」
顔を真っ青にして煉獄の弟とともに親父を運び込んでいるのを眺めながら、なんとも複雑な気分で素性を明かした。隊士ではあれど不死川は認めていないのだが、今回ばかりは致し方ない。
「……杏寿郎さんのことを慕っていたのですね」
「………」
不死川は知らなかったが、どうやら無限列車での任務に同行していたようだった。そこで共闘した煉獄に守られ、生きて帰ってきた。あの激昂ぶりは父親の様子に我慢ならなかったのだろう。
「……私、許せなくて。槇寿郎さんを殴りにきたのだけど」
「えっ」
「先を越されてしまったわ……」
淑やかな女性から殴るなんて言葉が飛び出してきたものだから、不死川は大いに狼狽えた。藤の花の家紋の家で見る時も、穏やかでたおやかに微笑んでくれている人である。娘も自慢の姉で目標なのだと言っていたのを不死川は聞いたことがある。
「……もしや風柱様も、義勇を案じてこちらへいらしたのでしょうか」
もしやと言いつつ確信しているようだった。
バレている。何ひとつ口にしたことはないし、表に出したこともないはずだが、姉には妹を見る不埒な視線がバレていたのかもしれない。誓って言うが不死川は娘をどうこうしようと考えたことなどない。ないけれども、無意識のものは制御しようがない故に漏れていたとしたら、気づかれていても仕方がないのかもしれない。
「いや、ま……妹さんと煉獄の仲睦まじさは知ってたもんで、つい……」
「……ありがとうございます」
おそらくそれを見ていたであろう煉獄の弟もわかっていただろうし、思うところは有り余るほどあるだろうと思う。
「風柱様は、義勇からお聞きかもしれませんが……私たちは槇寿郎さんに救われた身です。……きっと杏寿郎さんもそう言っていたのね、いずれ立ち直ってくれるとあの子は言っていたけれど……恩知らずと言われようと、あの子をないがしろにされた恨みがあります」
火葬に向かう時、周りが声をかけるもきかず父親は次男だけを連れて火葬場へ向かった。幾度となく煉獄家へ顔を出しては次男の手伝いをしてきた。それを笠に着るつもりなど娘には毛頭ない故に、姉は我慢がならなかったのだという。
縁談が纏まった当初、十八になったら祝言を挙げるという話だったのに、その歳頃になっても何ひとつ話が纏まることはなかった。頭を下げて縁談の許しを請うたふたりを拒絶し、鬱陶しいと息子である杏寿郎を殴ることもあった。果てはどうでもいいとすら宣い投げ出したのだという。
「私、怒りで目の前が真っ赤になったのなんて初めてでした。……でも、義勇のほうが大人だった。駆け出しそうな私を止めて見送ったわ。見たことなかった、あんな、感情を削ぎ落としたような顔……」
葬儀中、娘は泣きもしなかった。ただ前を見据えて、煉獄家の二人に頭を下げた。父親が目を逸らしてその場を離れようとしたほどに、表情も何もないままだったという。
「私の大事な妹……宝物なの」
親のいない二人姉妹は、寄り添って生活していたそうだ。頑張りすぎる姉に報いたいと娘も頑張りすぎていたように見えたけれど、そうやって二人で手を取り合って生きてきたのだろう。己の母も弟妹も、不死川にとって大事な宝物だ。それを脅かすものがあるなら、不死川は許すことなど到底できない。
長子というのは得てしてそういうものなのだ。兄であろうと姉であろうと、下の大事な弟妹たちを守りたいと奮起する。どれだけ憎まれたとしても、弟妹が幸せになるのならどんなことでもしてやりたくなる。だから彼女もここに来ているのだ。
*
「大丈夫ですか!?」
ふらりと傾いだ身体が塀に凭れ込み、ずるずるとしゃがみ込んでいくさまを目の当たりにした。慌てて駆け寄って覗き込むと、見知った顔が苦しげに歪められていた。
「冨岡さん……!? 大変、どこか悪いの!?」
世話になった師の屋敷で顔を合わせたことがあった。甘露寺は仲良くしたかったけれど、どうにも遠慮されてなかなか打ち解けてもらえなかった相手だった。
顔色はすこぶる悪い。手で覆っていた口から呻くような声が聞こえ、甘露寺は背中を擦った。
我慢できなかった吐瀉物が道端に散らされる。苦しげに荒げられた呼吸がひどく辛いのだろうことを伝えてきた。
「少し我慢してね。しのぶちゃんのところに連れてくわ!」
「………、」
「大丈夫よ、任せて!」
甘露寺では詳しい身体の診察などできないし、医者を呼ぶより連れて行くほうが速い。加えて甘露寺なら少し走れば蝶屋敷に着けるのだから、頼み込んで診てもらうのがいいと判断した。膝裏へと手をまわし、甘露寺は冨岡を抱えて走り出した。
「しのぶちゃーん!」
そうして慌ただしく蝶屋敷の戸を叩き開けた甘露寺は、驚かせてしまった少女たちに謝りつつ蝶屋敷の主人の名を叫んだ。診察室から顔を出した主人が目を丸くした後ろで、診察中だったのだろう不死川がずいぶんと恐ろしい形相で甘露寺を見た。
「助けてー! 冨岡さんがー!」
「冨岡!?」
「こちらへ」
ただ事ではないと察したらしい胡蝶の背後で不死川も慌てたように顔色を変えた。申し訳ないと思いつつも、甘露寺は抱えていた冨岡をどうにか診察室の寝台へ寝かせることに成功した。
「ずいぶん顔色の悪い……どちらのお嬢さんです?」
「煉獄さんの! え、」
寝かせた冨岡の手が甘露寺の羽織を掴み、ふるふるとかぶりを振った。何かを訴えているようだったけれど、話をするのは胡蝶に止められてしまった。
「診察しますからお二方は一度出ていただけます? お話は後で」
「あっ。お、お願いねしのぶちゃん!」
追い払われた甘露寺はそわそわと診察室の前で不安を顕にしていたが、なぜか不死川もそのままそわそわと苛立っているようだった。彼女を知っているようだったから、心配しているのかもしれない。
「大丈夫かしら……」
「………」
ただならぬ様子に幼い少女三人も不安になってしまったようだ。終わったら話を聞くからと甘露寺に任せてもらうよう告げると、気にしながらもようやく三人はその場を立ち去った。
そうしてしばらく経った頃、胡蝶は診察室から顔を出した。寝台のとの間には衝立が置かれ、丸椅子を勧められて甘露寺は座った。
「ええと……なぜ不死川さんまで?」
「乗りかかった船だァ」
「誰も乗せてないと思いますが……まあいいです。身に覚えがあるのかもしれませんからね」
勧められた丸椅子の後ろで不死川も立って聞こうとしている。そんなに冨岡と仲が良いのかと少し羨ましくなったが、胡蝶は少々呆れた顔をしていた。
「身篭っていらっしゃいます」
「へっ?」
「聞こえませんでした? 身篭っていらっしゃいます。不調はつわりですね」
「は……はァ!?」
「そんなに驚きます? 不死川さんが身に覚えがあるからここにいらっしゃるのかと思いましたが」
「あるわけねェだろォ!」
甘露寺よりも大きな声で驚愕を示した不死川は、続く胡蝶の言葉に顔を真っ赤にして怒りを顕にした。知りませんけども、となんとも素っ気ない返しが胡蝶からきてしまったが、甘露寺は驚きとともに頬が火照ってきてしまった。
「み、身篭……えっえっ、お、お相手は……」
「甘露寺さん、お知り合いなんですよね? お話聞いてあげてもらえませんか。……思い詰めたような顔をなさってますので」
後半は声量を落として甘露寺と不死川にのみ聞こえるように胡蝶は打診してきた。
仲良くなりたい相手だからそれはまったくかまわないのだが、妊娠だなんて予想外である。彼女は煉獄の許婚で、煉獄が亡くなった以上誰とも結婚していないはずだった。二人はとても想い合っているようだったし、葬儀の際は泣き腫らした目元のまま能面を張りつけていた。あんな状態の冨岡が他の誰かとだなんて信じられなかった。
「………、まさか……」
「甘露寺さん?」
思い至った内容はあまりに一途な想いで、あまりに悲しい出来事だ。そうであってほしいのか、それとも違っていてほしいのか、甘露寺自身もわからなかった。けれどどうしてもそうとしか思えなくて、知らず甘露寺は涙を零した。丸椅子から立ち上がり、衝立の向こうにある寝台へと近づく。
「冨岡さん、もしかして……煉獄さんの子なの?」
「………!」
背後で息を呑んだのが聞こえたが、甘露寺の目の前にはほろりほろりと幾筋も涙を溢れさせる冨岡がいた。痛ましくていじらしくて、健気で綺麗な涙だった。
煉獄の父親は、甘露寺もあまり関わったことがない。冷たい視線を投げかけられるだけで、挨拶すら受け取ってもらえなかった。いつ結婚するのかと問いかけた時、二人は少し困ったような顔をしていた。甘露寺が事情を知らない来たばかりの頃だったせいで、二人を困らせてしまったのだ。
甘露寺が憧れた、想い合う男女。二人は二人のまま好き合っている許婚だった。何か手助けできることがあればよかったが、甘露寺にできることはほとんどなかった。
投げ出された手をぎゅうと握りしめ、甘露寺は冨岡の髪を優しく撫でる。
「……ずっと我慢してたわよね。たくさん泣いていいからね、大丈夫。私にできることがあったら教えてね」
父親との和解を望んだのは冨岡だったと聞いたことがある。それに間違いはないのだろうけれど、誰のためにそうしたかったのかなんて明白だ。もっと早く説得できていたら、なんて、きっと彼女は考えたことだろう。煉獄から伝え聞く冨岡は、自分に非があるとばかり考えて後ろ向きな考え方をしているらしいから、ずっと苦しかったのではないかと思ったのだ。
葬儀で会った彼女は泣き腫らした目元のまま、見たこともない能面を張りつけていたのだから。
「甘露寺さんに任せれば大丈夫そうですね」
啜り泣きながら抱き合う二人を残して診察室を出ると、胡蝶は安堵したように一言呟いた。煉獄の弟子だったことのある甘露寺だ、冨岡とも面識があったから仲が良かったのかもしれない。
「あの方が煉獄さんの許婚ですか」
「あァ、祝言は挙げられなかった。話も聞かねェ大馬鹿野郎がいたもんでなァ」
「……そうですか」
胡蝶もかろうじて先代炎柱のことは知っている。あの男が馬鹿をやらかしている間、柱は全員あの男の担当地区を割り振られていたからだ。それでも煉獄が柱になるまでの間だったから、胡蝶などはましなほうだろう。
「難儀ですね。煉獄さん……槇寿郎さんがどうなさるのか」
「……どいつもこいつもクソ親父ばっかだ。……煉獄は、良い父親になったかもしんねェのに」
これだけ苦労していたのだから、よほど家族を大事にする父親になれただろう。二人姉妹は救われたと言っていたのだ、あの男とて根っからのクソ親父ではないことくらい承知している。クズの血が流れている不死川とは違う。
「……婚前交渉して孕ませておきながら残してこの世を去るのは、親不孝ならぬ許婚不幸とでもいえるのではないですか」
正式な嫁でもない、許婚はまだ他人だ。割り切った相手ですらなく、手を出すなど如何なものか。確かに不死川もそこには少々引っかかったものの、言葉にされて驚いてしまった。
「……悪鬼滅殺のためとはいえ、他人として残された側は辛いでしょうに」
「怒ってんのか」
「いいえ。ただ……彼女のお子さんがどうなるのか。きちんと嫁げていれば心配もなかったでしょうけれど」
未婚のコブ付きなど世間がどんな目で見てくるかわからない上、煉獄家に嫁いだところで恋しいはずの旦那はいない。子供だけを取り上げられることだってあり得るだろう。そんなことがあれば不死川は殴ってでも止めるつもりだが、彼女の行く末はひと筋縄ではいかないようだった。